TIP構法のこだわり
TIP構法の壁ブレースパネルに使用する元板は、よく乾燥した杉材を3m×12㎜×90㎜の大きさに製材したものです。これを選別し、斜めに切断、加工、製作します。
1軒の住宅に使う総量は、壁の面積によりますが、概ね500枚から800枚です。これだけの板材を取るには、長さ3m×直径22㎝の原木丸太で何本くらい必要でしょうか?
いろいろ木取りの方法がありますが、丸太全部を板材に挽いたとして25本から35本です。1枚の板をつくるには、先ず、原木丸太を一回り大きめの18㎜×100㎜ほどに製材します。天日乾燥後、人工乾燥室に2週間ほど入れて含水率15%以下に乾燥、さらに外気に2〜3週間さらし、多軸モルダー(四面ともカンナをあてたようにきれいに加工する機械)にかけて正確な寸法に仕上げます。原木に対しての歩留まりは50%を下回るでしょう。下地板とはいえ、化粧材としても充分な仕上がりになっています。
天日乾燥には、『葉枯らし』というとても手間暇のかかる乾燥方法を用いています。杉は赤身(心材)の水分が抜けにくく乾燥に時間がかかります。薄い板状にしてしまえば早く乾燥しますが、柱や梁材のように太いものはなかなか乾いてくれません。そこで山で伐採したあと、その場に葉のついたまま3ヶ月から半年放置して葉から水分を蒸発させます。これが『葉枯らし』です。その後、製材し人工乾燥します。自然乾燥の効果で含水も均一になり、割れや反りを軽減できて色合いも美しくなります。時間と労力が余分にかかるので、山仕事は大変です。同じ杉や桧材でも『川上の人々』の真心が込められたものは一味違いますね。生産者のこだわり、心意気が感じられます。