(7)『“健康住宅”のウソ・ホント』 ~序章 デザインや間取りを優先して家づくりに失敗する日本人~(P35・36)
当社代表取締役 杉山義博の「家づくりの想い」が1冊の本となり、2018年7月に幻冬舎より発売されました。その中身を少しずつご紹介させていただきます。(amazonからもお求めいただけます)
~序章~ 健康住宅はウソだらけ!? “家” に殺される日本人の現実
デザインや間取りを優先して家づくりに失敗する日本人
家は一生ものの買い物ですが、いちばん肝心な「住まいの性能や構造」を後回しにして、デザインや価格、間取りなどを重視する人が多いことを、私は大いに懸念しています。
そして多くの日本人が、冬の寒さによるつらさや過ごしにくさを「当たり前のこと」「仕方がない」と考え、最初からあきらめているのは、きわめてもったいないことです。
日本の住宅環境の悪さは異常であり、先進国の専門家や識者からも驚きの声が上がるほどです。
しかし、断熱の歴史はまだ浅く、1980年にようやく初めて建築物向けの「省エネルギー基準」が制定され、家の断熱性能の基準が定められました。
その後、1992年、1998年に省エネ基準の改正が行われました。2013年の改正では、従来の断熱性能の基準は据え置かれたまま、設備機器をあわせた建物全体の「一次エネルギー消費量」を住戸ごとに計算して省エネ基準を評価するようになりました。
しかし、これらの断熱性能の基準はあくまでも建築主の「努力義務」であり、法的拘束力がないため、守らなくても罰せられることはありませんでした。
どのように工事するかは、すべて工務店やハウスメーカーに一任されており、特に最近流行の「ローコスト住宅」は、建築費を抑えるためにあえて性能が劣る断熱材を使っているところもあります。極端な話、断熱材を使用しなくても問題にはならないのです。
2020年にようやくすべての新築住宅を対象に高気密・高断熱住宅が義務化されますが、日本の断熱性能基準がもともと極端に低いことから、大幅な改善は見込めないという声もあります。しかし中には、世界トップレベルの「健康住宅」づくりを実践している工務店もあります。