(22)『“健康住宅”のウソ・ホント』 ~第3章 湿度・ハウスダストを徹底コントロールする、 24 時間「呼吸する家」~(P101~108)
当社代表取締役 杉山義博の「家づくりの想い」が1冊の本となり、2018年7月に幻冬舎より発売されました。その中身を少しずつご紹介させていただきます。(amazonからもお求めいただけます)
~第3章~
ウ ソ ③:窓が多く風通しのいい家は、空気がきれいで健康的
ホント③::PM2.5、花粉、ホコリ……窓から侵入する有害物質によって健康を損なう
湿度・ハウスダストを徹底コントロールする、24時間「呼吸する家」
外からの有害物質をシャットアウトして、家族が健康的に暮らせるレベルの空気の質を保つには、これまでの換気システムでは対応できません。よりパワフルな、次世代型の全館空調システムを導入することが大切になります。
その一つが、先ほどもご紹介した、私の会社が独自に開発した24時間の次世代全館空調「マッハシステム」です。日本の住宅を性能面から問い直した、もっとも効率的な全館空調システムとして誕生しました。
マッハシステムは国土交通省の「住宅・建築関連先導技術開発助成事業」として採択されて開発を進め、計測や換気空調計算などのデータ分析を続けました。
そして、市販の壁掛けルームエアコン1台で冷暖房が可能で、同時に換気、空気浄化、加湿、除湿を行うことができる、省エネで快適な室内環境を可能にしました。私の会社がある高温多湿な東海地域でも安心して採用でき、冬は暖かく、夏は涼しい家を実現できます。
現在では北海道から九州まで普及してきており、全国64社の工務店や設計事務所に採用され、施工実績は1000棟を超えています(平成30年4月現在)。寒冷地用エアコンが使用できるマイナス25℃くらいの範囲なら、全国どこでもマッハシステムの導入が可能です。
私の会社の体感モデルハウスでマッハシステムを体感したお客様の多くから、「空気がとても気持ちいい」「どの部屋も同じ温度で快適」などという感想が寄せられています。
その理由は、室温と、吹き出し口から出る空気の温度差が非常に少ないためです。
例えば冬にエアコンを使うと、その吹き出し口の温度は45〜55℃にも達しています。いくら断熱性能のよい家でも、室内にこれほど高温の温風が吹き出されると、軽くて暖かい空気は上に、足元には冷たい空気がたまるので、上下の温度差ができて不快な寒さを感じます。
夏も、エアコンの吹き出し口の温度は12℃程度となり、冷たい空気は重いため足元が寒くなります。そのためクーラー病や夏風邪などで体調が悪化する人が多いのです。
しかし、マッハシステムを採用している家は、室内どこに行ってもエアコンの風が直接肌に当たって不快な思いをすることはありません。四季を通じて自然でさわやかな風が流れています。
なぜかというと、マッハシステムは、室内にエアコンを設置するのではなく、約1畳ほどの「空調ユニット」に設置しているためです。
[図表13]空調ユニットの内部写真
この空調ユニットで、フィルターでろ過して取り込んだ外の空気や、部屋の中を循環して戻ってきた空気を集めて浄化し、1台のエアコンで適温にしてから、小型の送風機を通して大量に各部屋に送り込むのがマッハシステムです。
ひとたび温度を設定すれば、空調ユニットを通じてその温度の空気をすべての部屋に循環させるので、夏の「寝室は涼しいけれど子ども部屋が寝苦しい」、冬の「暖房近くは暖かいけれど足元が冷える」「リビングは暖かいけれど廊下が寒い」といった問題点を解消します。
なお、室内で発生した汚れた空気は、室外に24時間態勢で排出されているので、家の中は常にクリーンな空気で保たれ、ハウスダストや二酸化炭素など室内空気質の汚染で悩まされることはありません。
マッハシステムは、空調ユニットが人体でいうと肺の役割を果たす、いわば「24時間呼吸している状態」なのです。
トイレやシューズクロークなどからの汚れた空気やにおいは24時間の熱交換型換気システムで必要な熱を回収し、においとともに外に排出されます。
室内で犬や猫などのペットを飼っていても、においが一ヵ所にとどまらずに回収されるので、「動物のにおいを感じない」という人がほとんどです。
外気を室内に取り入れる際に空気をろ過するのが「フィルターボックス」です。PM2・5を除去可能なフィルターもセットすることができ、場所によっては1カ月もするとフィルターが真っ黒に汚れるので、いかに外の空気が汚れているかがよく分かります。そのほか、集塵効率がより高い、最新式の電気集塵型空気清浄システムもおすすめしています。
例えば、数年前にマッハシステムの家を建てたKさんの家の敷地は、交通量の多い幹線道路沿いにあります。気候の良い時期でも窓が開けられない環境なのですが、Kさんより「家中どこでも、窓を開けなくても快適に過ごすことができています。何よりうれしいのは、入居前に悩まされていた花粉症の症状が軽減されたことです」との感想をいただきました。
なお、きちんと換気空調がなされていない家では、湿気がたまりやすく、カビやダニの温床になりやすいのですが、マッハシステムではその心配はありません。全熱交換型の第1種換気システムを採用していて、外気を室温に近づけ空気をクリーンにしてから再循環させているためです。
中には、築15年以上経っても、お風呂にカビ一つ生えていないという家もあります。床下の空間も、今でも木の香りがするほどで、まったくカビくさくないそうです。
冬季も極端に乾燥することはありませんが、空調ユニット付近の廊下など、設置しやすい場所に加湿器を置いておけば、全館に加湿された空気が循環されて快適に過ごすことができます。
[図表14]マッハシステムの仕組み