(21)『“健康住宅”のウソ・ホント』 ~第3章 有害物質だらけの外気を取り入れるのは言語道断~(P93~95)
当社代表取締役 杉山義博の「家づくりの想い」が1冊の本となり、2018年7月に幻冬舎より発売されました。その中身を少しずつご紹介させていただきます。(amazonからもお求めいただけます)
~第3章~
ウ ソ ③:窓が多く風通しのいい家は、空気がきれいで健康的
ホント③::PM2.5、花粉、ホコリ……窓から侵入する有害物質によって健康を損なう
有害物質だらけの外気を取り入れるのは言語道断
「窓から自然の風が流れ込む、風通しがいい家に住みたい」という人は多くいます。
しかし、空気がきれいな大自然の中に建てる家ならいいのですが、現代の日本の一般的な住宅地においては、あまり適した考えではありません。
外の空気は新鮮でおいしいというのは、今では昔の思い出話です。ましてや、窓を開け放して外気を取り入れることはおすすめできません。
普段生活していると気がつきにくいのですが、外の空気には花粉やホコリ、PM2・5、黄砂、車からの排気ガス、工場からの排煙などのさまざまな有害物質や目には見えない汚
れが多く含まれています。
特に、春先の偏西風に乗って大陸から日本に流れてくる黄砂の影響は深刻です。
黄砂にはPM2・5などさまざまな有毒物質が付着していて、アレルギー疾患や呼吸器疾患などの健康への悪影響が危惧されています。花粉症やアレルギーを持つ家族がいる場合は、必要に応じてエアコンを使い、できるだけ窓を開けずに過ごすことが大切です。
近年では高気密化したすき間のない家が増加し、住まいの性能は向上しました。一方で、そんな密閉された室内空間に有害物質がいったん流れ込むと、高気密であるがゆえに逃げ場がなくなり、空気がどんどん悪くなってしまうという矛盾も起きています。
そのため「やはり高気密・高断熱住宅は不健全だ。中気密・中断熱くらいがちょうどいい」などということをいう人もいます。
しかし、中気密・中断熱のようなすき間の多い家には、たとえ換気口にフィルターをつけても微粒子状の汚染物質がどんどん侵入してくるので、意味がありません。さらに気密性が低いと、夏は蒸し暑く、冬は寒くて非常に過ごしにくい家になりますし、断熱性能が低下して電気代もかさんでしまいます。湿気や結露が発生しやすく、ダニやカビ、ネズミなどが発生し、家の寿命も短くなってしまいます。
給気口に高性能なフィルターを取りつけるなど、気密性を保ちながら家の中をいかにクリーンな空気にするかを考えることが、健康的な生活を送る上でも非常に大切です。
また、昔から日本では「窓が多くて日光と風を取り入れやすい家がいい」といわれてきました。近年でも、窓を大きくとり、日差しを目いっぱい取り入れる家がまだまだ人気です。
しかし、高気密化がすすんだ今では、これも古い常識になりつつあります。
室温に大きな影響を与えるのは窓なので、たとえ樹脂サッシやペアガラス・トリプルガラスを使用してどんなに断熱性に優れた窓にしたとしても、窓が大きく、かつ多ければ、冬なら室内はそれに比例して寒くなってしまいますし、夏なら日中に窓を閉め切っているだけで蓄熱されて暑い家になってしまいます。
デザインや日当たりなどの観点から、窓を大きく、または多く取りつけたいという人もいますが、室温、および防犯面からもおすすめできません。
さらに、窓が多いと結露の問題も発生します。
冬、窓が結露でびしょ濡れになっていて、サッシ枠にはカビがびっしり……という経験をしたことがある人も多いと思います。断熱性能が高い窓は外気の影響を受けにくく、結露する割合も低くなりますが、開口部は不必要に大きく取らないことです。