(19)『“健康住宅”のウソ・ホント』 ~第2章 湿気がたまりカビやダニの温床に~(P88~91)
当社代表取締役 杉山義博の「家づくりの想い」が1冊の本となり、2018年7月に幻冬舎より発売されました。その中身を少しずつご紹介させていただきます。(amazonからもお求めいただけます)
~第2章~
ウ ソ ②:24 時間換気システムがあれば、ぜんそく・アレルギーは防げる
ホント②:室内に汚れた空気がよどみ、ぜんそく・アレルギーを誘発
湿気がたまりカビやダニの温床に
適切に換気がされていない高気密・高断熱住宅は、その気密・断熱性の高さゆえに空気の流れが滞って湿気がこもりやすくなり、結露やカビが発生して構造材を腐らせることが社会問題になっています。
家の中に少しでも温度差があれば、その部分に結露が発生しやすくなります。しかも床下や壁の中など、家の耐久性に大きく関係するにもかかわらず目につきにくい場所で結露が発生し、家が腐ってしまうのです。
家でいちばんカビが生えやすいのは、湿度が高い場所です。
特に日が当たりにくい北側に位置する部屋やトイレ、浴室などは、結露によって水分がつき、カビが繁殖しやすくなります。
外壁に面していて暖房が届きにくい押し入れの中や家具の裏なども、カビが生えやすい場所です。
一般の家庭で最適といわれる湿度は、40〜60%程度です。湿度が少なすぎると室内が乾燥し、目・肌・のどなどに悪影響を与え、冬は風邪をひきやすくなります。逆に湿度が65%を超えてしまうと、今度はカビ・ダニが活動しやすくなり、繁殖してしまいますので、適度な湿度を保つことが大事になります。
カビが最も好む環境は、温度が20〜30℃、湿度が75%以上の高温・高湿の場所です。風呂場は水分が多く、カビの生育に適した暖かい温度が保たれているため、カビが非常に発生しやすい場所です。
風呂場に生えるカビは主に黒カビですが、まだ目には見えない状態でも、黒カビの原因菌が至る所に潜んでいることがあります。天井などについた目に見えない黒カビが胞子をまき散らし、気流に乗って家中に広がり、家全体を汚染することもあります。
一般的なカビの自衛策としては、「基礎の防湿フィルムの施工精度を上げる」「暖房器具を見直す(石油ストーブやファンヒーターなど燃焼系の暖房器具は水蒸気を発生させるので避け、エアコンやオイルヒーターを用いる)」「室内に空気がとどまらないように家具のレイアウトを変える」「除湿機や除湿剤を使って除湿をする」などの方法があります。
私の会社では、湿気や結露から建物を守るための対策として、「二重通気」の工法を取り入れた住まいづくりに取り組んでいます。
二重通気は、外断熱ならではの工法です。
内装材と断熱材の間を「内側通気層」、断熱材と外装材の間を「外側通気層」と呼ぶのですが、この2つの通気層を通して室内と軀体内の両方に空気を通わせることによって、湿気や結露から建物を守ります。これにより家の長寿命化を実現しました。
これは外断熱だからできることであり、内断熱の場合は、柱と柱の間を断熱材が埋めているため内側通気層を設けることはできません。
また、そもそも内断熱は柱が内外の両方の空気にさらされているため、内外の温度差による結露の発生や、木材のゆがみの原因になる恐れがあります。
これらの理由から、私の会社では、高気密・高断熱住宅が注目されるずっと前から、基礎から屋根までの「オール外断熱」を徹底してきました。