(14)『“健康住宅”のウソ・ホント』 ~第1章 温度差のない快適な家には樹脂サッシが必須~(P66~69)
当社代表取締役 杉山義博の「家づくりの想い」が1冊の本となり、2018年7月に幻冬舎より発売されました。その中身を少しずつご紹介させていただきます。(amazonからもお求めいただけます)
~第1章~
ウ ソ ①:高気密・高断熱の家ならヒートショックは防げる
ホント①:やはり室内の温度差が大きく、ヒートショックは起こる
温度差のない快適な家には樹脂サッシが必須
日本の住宅を悪くした大きな原因の一つが、アルミサッシです。家の断熱を考える上では、サッシ(窓)も重要な役割を果たします。
サッシには、熱伝導率がもっとも低く高機能な樹脂製を選ぶべきです。
世界的に樹脂サッシは普及しており、アメリカ65%、イギリス76%、ドイツ64%、韓国80%の普及率です。しかし、日本ではまだ17%しか普及していません。
なぜかというと、日本は戦後、工場での加工のしやすさを理由に、急速にアルミサッシが普及したためです。そのため一般家庭では今でも多くの場合、アルミサッシが使用されています。
しかし私は、アルミサッシは絶対使ってはいけないと声を大にして主張しています。
アルミは、樹脂や木など他の物質に比べて、非常に熱を通しやすい性質を持っているからです。
熱の伝えやすさをあらわす数値に「熱貫流率(W/㎡・K)」というものがあります。
熱貫流率は、ガラスの内外の温度差が1℃あった時に、1時間あたりガラス1㎡を通過する熱量が何ワットかを表した値です。この数値が少ないほど断熱性に優れています。
樹脂の熱貫流率が0・2、木が0・16であるのに対して、アルミの熱貫流率は200です。樹脂や木に比べてアルミは1000倍熱を通しやすい性質があるのです。
アルミ製の鍋を火にかけるとすぐに熱くなってお湯が沸騰するのは、この熱伝導率の高さが原因です。
日本では熱貫流率が2・33以下の窓を最高性能と認定していますが、大多数の住まいに使われているアルミの複層ガラスは4以上の熱貫流率で、どんどん熱を通してしまいます。ドイツでは熱貫流率が1・3を超えるものは使用禁止にしていることを考えると、いかに日本の窓が低スペックかご理解いただけると思います。
アルミのように熱伝導率の高い素材は、鍋の素材としては良いかもしれませんが、窓には決して使用してはいけません。もちろん新幹線にも使用されていません。
ただでさえ日本の住宅は窓が広くとられているので、アルミサッシを使っていては、外気温の影響を大きく受けてしまいますし、省エネ効果を発揮しにくくなります。
ちなみにアメリカでは、全50州のうち約半数の24州でアルミサッシの使用が禁止されています。やはり、人が住む空間ではアルミサッシは使わない方が良いのです。
一方、断熱・機密性が高い樹脂サッシは先述のとおり、北欧や北米などの寒冷地を中心に普及しています。日本においては北海道や東北などには多く採用されていますが、それ以外の地域ではまだまだ普及しているとはいえません。
樹脂サッシは断熱性や機密性以外にも、冬場の冷気が室内に伝わりにくいため結露が生じにくい点や、加工や着色がしやすいことから、幅広いデザインに対応できる点、アルミサッシに比べて遮音性に優れている点など、さまざまなメリットがあります。