(12)『“健康住宅”のウソ・ホント』 ~第1章 本当の高気密・高断熱なら床暖房は必要ない~(P58~60)
当社代表取締役 杉山義博の「家づくりの想い」が1冊の本となり、2018年7月に幻冬舎より発売されました。その中身を少しずつご紹介させていただきます。(amazonからもお求めいただけます)
~第1章~
ウ ソ ①:高気密・高断熱の家ならヒートショックは防げる
ホント①:やはり室内の温度差が大きく、ヒートショックは起こる
本当の高気密・高断熱なら床暖房は必要ない
高気密・高断熱住宅をうたっておきながら、床暖房をつけないと足元が冷えて仕方がないという家は非常に多くあります。
本来なら、どの部屋の床も天井も、等しくほぼ一定の温度を保てるのが高気密・高断熱住宅の最大のメリットですから、そもそも床暖房は必要ありません。高気密・高断熱なら床や壁、窓から逃げる熱の量が少ないので、床も室温と同じ温度を保てるはずです。
したがって、たとえ高気密・高断熱住宅を売り文句にしていても、しつこく床暖房をすすめてくるような会社は、断熱性能が低い「ニセモノ住宅」であると宣伝しているようなものです。
床暖房は足元から暖まり、空気が乾燥しないといったメリットがありますが、デメリットも多々あります。
第一にコストの問題です。家中に床暖房を設置すると初期費用がとても高額になりますし、ランニングコストもメンテナンス費用もかかります。また、床の下に温水を通す「温水式床暖房」の場合、配管にトラブルが起こりやすくなるのも憂慮すべき点です。故障すると、その時の状況にもよりますが修繕に30万~100万円ほどかかります。さらに床暖房は設定された温度になるまでに時間がかかるため、冬の寒い時期は24時間つけっぱなしにしないかぎりは他の暖房器具と併用することになり、月の電気代が高額になります。
また、床暖房の暖かさは独特なので、モヤッとした熱さを足裏に長時間感じてのぼせたり、体調を崩したりする人もいます。赤ちゃんや子どもはハイハイをしたり、寝転がったりして床に接している時間が大人よりも長くなるため、あせもや低温やけどに注意しなければいけません。なるべく低温に設定しておくことをおすすめします。
私の会社では、高気密・高断熱住宅が現在のように注目される前から、家の中で大きな温度差が発生しないように、基礎から屋根までをすっぽり断熱材で覆う「オール外断熱」をおすすめしてきました。
オール外断熱の工法なら、床下はもちろんのこと、壁の内部や小屋裏までもが室内と同じ環境を保つことができるので、床暖房は必要ありません。また、床下と居住空間に温度差がほとんどないので、個人差はありますが、真冬に廊下を素足で歩いてもヒヤッとした嫌な感覚がありません。冬場に床下の空気が暖かいと、まるで床暖房を入れたかのような暖かさを感じることができるのです。
ごく自然な暖かさを維持したいという人には、断熱性能をさらに高めるため、複合断熱(外断熱+内断熱)を採用したり、確かな施工力を持つ工務店・ハウスメーカーによる高気密・高断熱住宅をおすすめします。