設計ワンポイントアドバイス ~照明計画~
照明は主照明(全体照明)・補助照明(部分照明)・外照明(外構補助照明)の3種類に分けられます。主照明は部屋全体を明るくするのが目的で、シーリングライトやシャンデリア、ダウンライトなどがあります。補助照明には、キッチンの手元灯や読書灯のように作業に必要な明るさを手助けする役割と、ブラケットやフロアスタンドのように部屋を演出する効果があります。外照明は、インターホンの手元照明や外灯のように位置認識を手助けする目的での設置が主となります。
かつて住宅の照明計画は、部屋の中央にシーリングライトが1つだけというプランが一般的でした。これでは部屋が平坦で、ありきたりな印象になってしまいがちです。このシーリングライトを細かい作業にも支障がない明るさにすると、普段の暮らしにはまぶし過ぎると同時に電力の無駄遣いにも繋がり、落ち着きを失くしてしまいます。
そのため照明計画の際には、エコも意識した上で、部屋の用途に応じて主照明と補助照明を組み合わせるとより良い空間演出ができます。また、同じ明るさの照明でも床・壁・天井のどの面に光を当てるかによって、明暗の感じ方は異なります。つまり、照明1つで部屋の印象は大きく変化するのです。
やわらかい雰囲気の空間にしたい場合には、全体にまんべんなく光が当たるようにします。落ち着いた雰囲気を演出したい場合は、床または天井の一部と壁を明るくし、人に光が直接当たらないようにします。天井が低くて狭い部屋では、天井や壁に照明が納まる設計(建築化照明)にし、そこから光を当てると実際よりも天井が高く、部屋が広々と感じます。
また、内装材の種類や色によっても光の印象は違ったものになります。白くて光沢のある内装材ほど光を反射するため、より明るく感じます。反対に、濃い色で光沢がないものは光の反射が少なく、落ち着いた印象となります。和室などで、壁や天井を濃い目でツヤのない色にする場合は、明るめの照明器具をお選びいただくことがお勧めです。
住まいに建築化照明をうまく取り入れ、雰囲気のある空間演出を楽しんでいただきたいです。
【建築化照明の種類】
【建築化照明を使用した例】
①コーブ照明
基準天井の下に水平天井を設け、補助照明を設置し、光を天井に反射させます。設計事務所で多く用いられる方法です。
②コーニス照明
壁の上部に設けたコーニスに補助照明を隠して設置し、光を壁面に反射させます。天井に窪みをつける必要があるため、リフォームでは採用が難しい場合もあります。
③バランス照明
造作家具の上下や造作壁の背面に補助照明を設置し、天井と壁に光を反射させます。宙に浮いているような効果的な空間演出ができます。
④外構照明
様々な外構照明がありますが、アプローチ照明についてご紹介します。これは、軒天井に照明を設けずフットライトのみで計画した実例です。特殊な壁面の形状を活かして照明を組み込んでいます。