設計のワンポイントアドバイス ~天井~
室内空間は、床・壁・天井の3つの要素で構成されています。前号で、壁について触れましたので、今回は「天井」について考えたいと思います。
近年、構造躯体の技術が進み、木造でも大きな空間をつくりやすくなっています。平面的な広さが「物理的な広さ」であるのに対し、高さ方向の広さは「心理的な効果」を生み出します。つまり、天井のつくり方次第で、床面積が同じでも空間の見え方が変わるのです。
吹抜けや勾配天井などは、高さ方向に広がりを持たせる手法の一つです。それに加えて、窓を上部に配置すると明るさも増し、より解放感を得られます。逆に、低い天井は閉塞的になり、心理的に良くないと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。狭い方が落ち着くという方がいらっしゃるように、くつろぎや作業に集中するためのスペースには、天井高に差をつけることも空間デザインの手法と言えます。
また、天井デザインによりもたらされる効果は広さの感覚だけではありません。折上げ天井や折下げ天井は、意匠性を高める手法の一つです。天井の一部を少しだけ高くしたり、低くしたりすることで、単調になりやすい天井面にも変化が生まれます。またその部分の仕上げ材を変えることで、よりデザインを際立たせることができます。
天井についていくつかご紹介しましたが、一番に考えなくてはならないのは、住まわれる方の生活です。この場所はみんなで過ごす場所だから開放的に、ここが見どころだからおしゃれにしたいなど、間取りを眺めながら想像することが、いい家づくりにつながります。