猫との暮らし
人と猫との関りは約9,500年前からとされています。猫が人の生活圏で暮らし始めたのは「人の食料に集まるネズミや残飯」が目当てでした。それは人に指示されたわけではなく、たまたま利害関係が一致したのがきっかけです。「指示に従う」という概念がほとんどない猫は「ネズミを駆除すること」だけが人のメリットであり、18世紀まではほとんど品種改良されることはありませんでした。この部分が犬と猫で大きく異なる点です。
ネコ科の動物は基本的に単独で行動し、狩りを行います。また、平面的な活動よりも「木の上に登る」ことを彷彿させる上下の立体的な活動を求める習性があります。そのため、猫と暮らす住まいには愛猫が立体的な活動ができ、他者に干渉されずに寛げる場所が必要です。
ここでは、愛猫と暮らすリビング・ダイニングについて考えてみたいと思います。リビング・ダイニングは、家の中で人があつまる場所です。愛猫が人の中で安心して寛ぐには、専用のプライベートスペースを用意してあげると良いです。例えば、高所空間を利用したキャットウォークやステップ。
キャットウォークやステップは猫種や年齢による運動能力に合わせて、また多頭飼いの場合には、猫同士が共有して使うことを想定して設定位置を考えます。猫同士で追いかけっこをしたり、仲の良い猫同士であってもその時の気分によっては喧嘩をすることもあります。そのため、複数の経路を検討したり、2頭がすれ違える巾でキャットウォークを計画するなどしておけば、猫が飛び降りて怪我を負うなどのリスクを抑えることができます。そして、キャットウォークやステップに抜け毛や埃が溜まってしまうと滑りやすくなってしまうので、定期的に清掃できる、人の手が届く高さまでにしておく必要があります。
猫にとって上下運動は必要なものですが、キャットウォークやステップを必ず家に設置しなければいけないというものではありません。他の猫がいない環境でのびのび過ごせる場合、老化によって骨関節や運動能力が衰えてきた老猫など、キャットウォークやステップが怪我につながる場合もあります。愛猫と暮らす住環境で最も大切なのは「安全性」です。設置の必要性やサイズなどをしっかり検討することが大切です。
ペットと快適に暮らす為に工夫を施したモデルルームをVRで体験できます!
(マルシチホーム家づくり通信「concierge 2021年 盛夏号」掲載)