熱を外に逃さず、体感温度を高く維持して快適な暮らし
住み心地の良さは体感温度に左右されます
快適な暮らしの大切なポイントは、身体の表面で感じる「体感温度」にあり
人に熱を伝える方法は、大きく分けると次の3種類。
対流熱伝達: エアコンなどの冷暖房
熱伝導: 床などに直接触れて熱が伝わる
輻射(放射)熱伝達: 壁や床・天井の温度
「熱」には高い温度から低い温度へ移動する性質があります。そのため、暖かい部屋から寒い部屋に行くと、身体から熱が逃げて体感温度が下がり、寒さを感じるのです。
体感温度に影響するのは、壁や床などの表面温度。
断熱性能が低い家は、寒い外気に影響されやすく、建物の熱を奪われてしまいます。そのため、床・壁・天井などの表面温度が下がり、体感温度も下がってしまいます。逆に、断熱性能の高い家は、外気の影響を受けにくくいため、表面温度がほとんど変わりません。つまり、外気に奪われる熱が少なくなるため、体感温度が維持されるのです。
省エネも、結露対策にも表面温度がキーとなる
一般的にエアコンなどの空気の対流で、熱を伝える場合、暖かい空気は上へ、比重が大きい冷気は下へいく性質があります。そのため、顔や上半身は暖かいのに足元が寒いという室内での温度差が発生しやすくなるのです。
壁や床の表目温度が低いと、暖房の熱を奪い、冷気の層が厚くなりますが、断熱性が高ければ室内にまんべんなく暖かい空気が行き渡ります。その結果、エアコンの効率が向上するのです。
その一方で、空気中の水分は冷やされると水に変化します。例えば、冷たい水を入れたコップの表面に水滴がついてしまうのは、空気中の水分が冷やされたコップの表面温度に熱を奪われてしまう現象。これを「結露」と言い、床や壁、窓ガラスなどの表面温度が下がったところで発生します。壁紙やカーペット、カーテンなどに結露した水が付着するとカビの発生に繋がり、アレルギーや肺炎など体に悪影響を及ぼしてしまいます。
断熱性能の高い家は、表面温度が下がりにくいので、結露も発生しにくくなるのです。
断熱性能が住み心地を左右します
「快適な温度環境」という面からみると、いかに断熱が重要かが分かります。一度、家を建ててしまうと、簡単に断熱性能を高めることは難しくなります。
断熱性能が高い家では、少しの熱源でフロア全体のみならず、家全体を暖めることができるため、間仕切りが少ない自由な間取りが可能となり、家の中の温度差も生まれにくくなります。