家づくりに採用される構造

現在、家づくりに採用される構造は、木造・鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート造)の主に3種類が基本となります。2023年度における建築着工統計調査(国土交通省)によると、一戸建て新築住宅の場合、木造が全体の91.4%、鉄骨造が7.7%、RC造が0.7%となり、ほとんどが木造で建てられています。
では、なぜ木造が群を抜いて、一戸建て新築住宅において選ばれるのでしょうか。各工法の特徴を比較することで、その理由を探ってみたいと思います。
【木造】
・柱・壁・梁などの主要構造部を木材でつくった建物のこと
・加工が容易で、設計の自由度が高く、増改築がしやすい
・鉄骨造やRC造に比べて、建築費用が安価に抑えられる
・吸湿、放湿性能が高い
・断熱性に優れている
・建物が軽く、地震による揺れの影響を受けにくい
・木材の腐朽やシロアリへの対策など、定期的なメンテナンスが必要になる
・法定耐用年数は22年と、重量鉄骨造やRC造に比べると短い
【鉄骨造】
・柱や梁を鉄骨(鋼材)でつくった建物のこと
※軽量鉄骨造:厚さ6㎜以下の鋼材を用いた建物
重量鉄骨造:厚さ6㎜以上の鋼材を用いた建物
・軽量鉄骨造は比較的建設費用が安価で、工期が短期間で済む
・重量鉄骨造は柱や梁が太く頑丈なため筋交いが要らず、大きな窓や大空間を実現できる
・火災による加熱と錆に弱い
※鉄は加熱後3~5分で、強度が著しく低下する
・木造に比べて建物が重く、地震による揺れの影響を受けやすい
・軽量鉄骨造なら19年、重量鉄骨造なら34年と法定耐用年数に違いがある
【RC造】
・コンクリートを鉄筋で補強した建物のこと
・腐食しにくく、熱に強い、耐久性に優れた構造
・遮音性が高い
・施工精度によって品質が大きく左右されるため、施工業者の選定が重要となる
・建設費が高価である
・木造に比べて建物が重く、地震による揺れの影響を受けやすい
・法定耐用年数は47年と長い
なお、法定耐用年数とは、金融機関の融資を受ける際に判断基準となる税務上の数字であり、「建物の寿命」とイコールではありません。ただし、「大規模な修繕を行わない場合」の建物の耐久性の目安となっています。つまり、何も手を加えない状態の耐久性は、RC造 > 重量鉄骨造 > 木造 > 軽量鉄骨造の順に高いと考えられています。しかし、だからと言って木造が鉄骨造やRC造に比べて劣っているわけではありません。むしろ、木造は鉄骨造やRC造にはない優れた性質をもっています。
その性質をひと言で表すと「住む人にやさしい」ということです。木材は周囲の温度や湿度に合わせて空気中の水分を吸放出する性能や高い断熱性能をもっています。また、ほのかに感じられる香りや、年月と共に風合いが増していくのも木材ならではの特徴です。それらが相まって、木造住宅ならではの心地のいい空間をつくり出しています。
(マルシチホーム家づくり通信「concierge 2024年 春号」掲載)