シロアリから住まいを守る ~シロアリの生態~
シロアリの社会
女王と王を中心に、多数のシロアリでコロニー(集団)を形成して、高度な社会生活を営んでいます。シロアリ社会は、次のような階級で構成されます。
・女王アリと王アリ:交尾を繰り返し、産卵に専念 します。
・職蟻(働きアリ):コロニーの90〜95%を占め、餌の採取活動、巣の構築・修理・清掃、女王アリや王アリ・幼虫・兵蟻(兵隊アリ)に食物を与える役割を担当しています。
・兵蟻(兵隊アリ):発達したコロニーでは、2〜3%を占めます。外敵からの防衛にあたるシロアリで、餌は職蟻(働きアリ)から口移しでもらいます。
シロアリの加害習性と侵入経路(出典:関西・北陸しろあり対策協会 ホームページ)
シロアリの一生
シロアリは、卵から幼虫、そして成虫(羽アリ)になりますが、この途中から、羽アリになる幼虫(ニンフ)とは別に職蟻(働きアリ)と兵蟻(兵隊アリ)が発生します。
シロアリは、目が退化している上、光を嫌って、その一生をほとんど地中の暗闇で過ごします。しかし、春になると、羽アリは光を恐れないで巣から飛び出し、ペアになって新しい巣をつくります。多数の羽アリが同時に飛び出すことから、これを群飛と言います。
群飛の時間はわずか数十分で、距離も数百メートルから1キロが限界です。そして地上に降りると、不要になった羽を落とします。羽は群飛の僅かな時間のためだけに必要なのであり、地下での生活では不要となるためです。
羽を落とした後、雌の出すフェロモンに雄が寄ってきて、新居であるコロニーをつくり、女王アリと王アリとなり、交尾と産卵を繰り返します。最初の産卵数は、郡飛の5〜20日後で、イエシロアリは20〜30個、ヤマトシロアリは、数個〜十数個くらいです。しかし、その幼虫が職蟻となって育ってくると、イエシロアリで1日に数百個にも及びます。こうして、王アリと女王アリが寿命を迎えるまで約10〜15年間、卵を産み続け、コロニーを拡大するのです。
シロアリの一生(出典:(株)サニックス ホームページ)
シロアリが生活する環境
シロアリは、日当たりが悪く、温かく、湿気が多いところを好みます。また、シロアリは空気の動きに敏感で、風(気流)を嫌います。そのため、地上に出る際は土や砂などで蟻道をつくり、その中を移動します。そうすることで、シロアリは乾燥から身を守ることができます。
蟻道は、水や餌を運ぶ「水取り蟻道」や「餌取り蟻道」、断面が三日月・半月・長円形など、シロアリの種類やつくられる場所・目的によって、形状が異なります。離れた物体間を結ぶ「空中蟻道」もあります。
基礎にできた蟻道
(マルシチホーム家づくり通信「concierge 2021年 春号」掲載)