(15)『“健康住宅”のウソ・ホント』 ~第1章 身体への負担を最小限にする、室温の一定化~(P70~73)
当社代表取締役 杉山義博の「家づくりの想い」が1冊の本となり、2018年7月に幻冬舎より発売されました。その中身を少しずつご紹介させていただきます。(amazonからもお求めいただけます)
~第1章~
ウ ソ ①:高気密・高断熱の家ならヒートショックは防げる
ホント①:やはり室内の温度差が大きく、ヒートショックは起こる
身体への負担を最小限にする、室温の一定化
これまで見てきたように、日本の高気密・高断熱住宅のレベルはピンキリで、ニセモノも跋扈(ばっこ) しているひどい状況です。
快適な住環境を保つためには、しっかりとしたオール外断熱(基礎から屋根までの外断熱)施工で高気密・高断熱の建物をつくり、さらにサッシ(窓)などの細かい部分にもこだわって材料や設備を吟味することが、とても重要です。それが家族全員の健康を守ることにつながります。
ここに、興味深いデータがあります。近畿大学建築学部・岩前篤教授は平成14年以降、約3万5千人(主に30代~40代の働き盛り世代と、その子ども世代である10代までの男女)を対象に健康調査を行ってきました。その中で新築の高気密・高断熱住宅に引っ越した人に、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、関節炎、アレルギー性鼻炎などの15の諸症状について、引っ越し後の変化を質問。「以前と変わらず(症状が)出ていない」「出るようになった」「出なくなった」「以前と変わらず出ている」の4つの選択肢から選んでもらいました。グラフは、断熱性能の高い家に引っ越した後、病気の諸症状がよくなった人の割合(=改善率)を示しています。なお、グラフにあるグレード3(省エネ等級3)はアルミサッシ+シングルガラス、グレード4(省エネ等級4)はアルミサッシ+ペアガラス、グレード5(省エネ等級4以上の高性能)は樹脂サッシ+ペアガラスです。
グラフを見ると分かるように、多くの症状に明確な改善が認められました。また、より断熱性の高い住宅に引っ越した人ほど、改善率が高くなったことが分かります。中でもアトピー性皮膚炎が改善されているのは、室内が快適になり身に着ける服が減ることで、アトピーの引き金になる衣服からの刺激を小さくすることができるからと、岩前教授は分析しています。
日々の健康のためにも、住まいは省エネで快適な住まいであることが大切です。それには、工法・断熱・換気・空調などをしっかりと勉強して建てることがとても重要です。それを考えると、「ローコスト住宅」などといって、安価で室内の温度差が激しい粗雑な家を売りつけるハウスメーカーや工務店は、ある意味「罪」だと私は思います。
私の会社では、温度差が激しい家は絶対につくりません。25年以上前から高気密・高断熱の住まいづくりに取り組み、その特性をしっかりと活かした、省エネで快適な暮らしを長年にわたり提案してきました。職人たちは、断熱材を隙間なく施工することに手間を惜しみません。そして、床下から小屋裏・ロフトまで、すべてほぼ一定の室温を保つことができ、お客様に喜ばれています。
暑さや寒さを我慢することなく、末永く快適に住むことができる「室温が一定した家」を建てることが、近年ますます大事になっています。