百年続く「心地のいい家」の条件 ~外部環境の影響を受けにくい 家のつくり~
断熱・気密性が高い省エネ住宅は、外気の影響を受けにくく、家の中の温度差が小さくなるため、1年を通して、小さなお子様からお年寄りまで快適で健康的に過ごせます。しかし、どんな断熱材を使用し、どのように施工されるか、また換気の状況によっては、壁内結露が発生したり、構造材が腐朽したりするなど、建物に被害が生じてしまう場合があります。
そこで、日本古来の建物、一般的な内断熱の建物、丸七ホームが採用している外断熱の建物を比較しながら、説明したいと思います。
【日本古来の住宅】
日本古来の木造住宅には断熱材と呼べるものはなく、壁は内外共に真壁造りの土壁か板壁などで、床や天井も断熱されていない状態でした。土壁は熱伝導率が大きいため、屋外温度の影響を受けやすく、寒暑期の室内環境は厳しいものになりがちです。特に夏の西日や冬の北風が直接あたるような壁に面する部屋では、土壁の蓄熱性も働き、室内環境はより厳しくなります。また、冷暖房の効率が悪く、暑さ寒さを我慢できたとしても、健康に影響がないとは言えません。
【一般的な内断熱の建物】
そこで、住み心地を向上させるために登場したのが、グラスウールなどの断熱材です。グラスウールは1960年代半ばから採用されるようになり、現在でも多くの住まいで使用されています。しかし、綿状の断熱材を使用する際に注意しなくてはいけないのは、室内側の「防湿気密層」です。設備工事、天井や壁の下地を施工する際に、この気密層に穴をあけてしまうと、そこから湿気が侵入し、壁内結露を引き起こす原因となってしまいます。また、木材を壁内に密閉する構法でもあり、ある程度のリスクを伴います。
【オール外断熱の「マルシチの家」】
丸七ホームでは、ドイツでの経験から「断熱・気密性能」を高めることが室内環境を向上させると考え、木の家に合った、木の良さを活かせる断熱材の選択から研究を開始しました。
自社やグループ会社の事務所・休憩室に、グラスウールや硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームなど複数の断熱材を用いた試験を行い、断熱・気密性に問題がないか、快適なのかをテストしました。同時に、窓にも同様な性能が求められるため、当時一般的に使われていたアルミサッシ(単板ガラス)ではなく、ドイツの木製サッシ(複層ガラス)を使用しました。
最初は快適に過ごせましたが、1年を過ぎると室内はかび臭く、不快な環境となってしまいました。壁を取り除いて中を確認したところ、目を疑うような状態となっていました。 断熱材はびっしょりと濡れ、カビが発生していました。当時はまだ「計画換気」の概念はなく、夏の冷房にはエアコン、冬の暖房には木材の廃材を利用した薪ストーブを使用し、乾燥を防ぐため、ストーブの上には常にやかんを置き、その蒸気で室内を加湿していました。このような状況下で、壁体内結露が発生してしまったのです。当然、濡れた断熱材はその本来の機能を果たすことができず、外の寒さを室内に伝えてしまうと同時に、ストーブで暖めた室内の熱を外に逃がしていました。さらに、柱や土台などの構造材も濡れたままになってしまったことで、カビが生えて腐敗が進み、最後にはシロアリの絶好の住処となってしまう恐れさえありました。
高気密・高断熱の住まいには、水を吸わない断熱材の使用、間違いのない断熱・気密施工、計画的な換気と工法に見合った冷暖房設備の選択が必要であることを痛感しました。この経験があるからこそ、オール外断熱に全館空調マッハシステムを組み合わせた「マルシチの家」を、自信をもってお勧めできるのです。