忘れがちな住まいのお手入れ ~エアコン~
暑い夏、寒い冬には欠かせないエアコン。ちょっとした使い方のコツやお手入れで、空気の清浄さに違いが生じます。「良質な空気」を保つために、フィルター類や送風ファンと合わせて、エアコンのお手入れも定期的に行いましょう。
今お使いのエアコン大丈夫ですか?
数年間エアコンを使用することによって、いつの間にかエアコン内部にはホコリやカビ等が蓄積されていきます。汚れが酷くなると、エアコンの運転効率が低下し、必要以上に電気代がかかるうえ、パワーが大幅にダウンしてしまい、故障の原因にもなりかねません。また、汚れたエアコンを稼働することにより、内部の汚れが風に乗って排出され、送風ファンやダクトを介して家全体に運ばれてしまいます。
図の出典:ダイキン工業㈱「空気の学校」
この状態を防ぐために、カビの発生を抑制する使い方のコツ、フィルター等のセルフメンテナンス、プロによるエアコン内部までの分解洗浄が必要となります。
エアコン内部にカビが生える理由
エアコンの汚れで一番気になるのがカビです。では、このカビはどうして発生するのでしょうか? その理由は、エアコン内部の「結露」です。冷房や除湿でエアコンを運転していると、エアコン内部は湿気だらけで濡れた状態となります。
エアコンは、室内機と室外機の2つで1セット。この2つの間には冷媒と呼ばれるフロンガスが通っています。このフロンガスに圧を加えて気体や液体に変化させ、さらに温度差を作ることでエアコンは温風や冷風を作り出しています。その際には「気化熱」という水が蒸発するときに周りの熱を奪う原理が利用されています。
図の出典:ダイキン工業㈱「空気の学校」
冷房運転の際には、エアコンの内部にある熱交換器でこの気化熱の原理が使われているために水が発生してしまいます。こうして発生した水は受け皿にたまってから、ドレンと呼ばれる管で外へ排水されます。除湿モードや冷房をつけた時に室外機のホースから水が出るのはこのためです。この水をエアコン側で強制的に排水したり、乾かしたりしないために、エアコン内部は濡れて湿気だらけの状態となってしまいます。この状態でエアコンを停止すると、高温多湿で暗所状態のエアコン内部はカビの住処となってしまいます。
上の図のように、結露水はドレンパンを伝い、ドレンホースによって屋外に排出されますが、ドレンパンが汚れて雑菌が増殖し、液体が固まったり、ゼリー状になったりしてしまうと、スムーズな排水ができなくなってしまいます(スライム現象)。最悪の場合には、ドレンパンから水が溢れてしまい、エアコン本体からの水漏れにつながってしまうケースがあります。
カビの発生を防ぐために
カビの発生を100%防ぐことは不可能ですが、抑制することは可能です。
第一にフィルターの清掃です。フィルターのホコリを除去することによって、エアコン内部にカビが発生する原因となる菌の侵入を防ぎます。
そして、エアコン内部の換気です。エアコン停止後、2時間程度は送風機能を使って、エアコンの内部を乾燥させましょう。また、エアコンを使用しない中間期(特に秋)には、週1回は同様の運転を行ってください。
そうすることで、エアコン内部が乾燥し、カビの発生を抑制することができます。
エアコン内部洗浄のメリット
ご家庭ではできないエアコン内部のお手入れはプロにお願いすることが一番です。フィルターを自動洗浄する機能がついたエアコンも、内部のホコリやカビまでは除去できません。3年に1度はエアコンの内部まで分解洗浄されることがお勧めです。
メリット① 節電
クリーニングを通して、熱交換率のアップにつながり、消費電力を大幅に抑えることが期待できます。本来持つ性能を最大限に発揮させることで、省エネ効果が高まります。
メリット② 良質な空気環境
内部のファンにこびりついたホコリを除去することにより、異臭の元を除去できます。また、良質な空気環境を保つことができます。
メリット③ 静音運転
内部のファンにこびりついたホコリを除去することにより、回転部の風切り音が静かになります。
メリット④ 機器の長寿命化
機器を常に快適に保つことにより、機器そのものの寿命を延ばすことができます。機器の効率アップはもちろん、電気代など、長期的なランニングコストの節約も期待できます。