小さな住まいの大敵「シロアリ」
春はシロアリの恋の季節です。新しい家族を作るため、4月下旬から6月にかけてシロアリの羽アリが発生し、その活動のピークを迎えます。
羽根アリは条件が揃った時に短時間で数十匹・数百匹単位で発生するため、タイミングを見逃してしまうとシロアリ被害に気付くことができず、知らない内に被害が進行してしまうことも少なくありません。最も発生しやすいのは、よく晴れた蒸し暑い日で、あまり風の吹いていない日。シロアリの種類にもよりますが、そういった日の午前中または夕方に多く発生します。
よく目にするクロアリも羽アリとなりますので、見かけた虫がシロアリなのか違うのかを区別できるようにしておくと発見した時に慌てません。どちらの羽根アリも胴体が黒いため、見分けるには「羽の大きさ」と「胴体のクビレ」がポイントとなります。クロアリの羽はクビレがあって細長い形をしており、羽根の大きさも頭に近い方が長く、お尻に近い方が短いです。一方、シロアリの羽はクビレが無く、太い胴体をしており、羽根の大きさは全て同じです。また、クロアリの羽根アリの発生時期は5月から11月となり、シロアリとは若干時期が異なるのも見分けるための判断材料の1つとなります。
図の出典:日本しろあり対策協会
また、発生したのがシロアリだった場合、殺虫剤で駆除することは根本的な解決にならないだけでなく、その後の施工の妨げにもなりますので避けて下さい。まずは写真を撮り、セロテープ等で個体を採っておきます。その後、掃除機で吸い取る、もしくは箒で掃いていただき、専門家による調査を受けて、実際の被害状況をきちんと把握することが大切です。
そうならないためには、住まいへの適切なシロアリ対策を行うことが大切です。最も一般的なのは、薬剤による対策です。しかし、この方法では薬剤処理をした時を最大として効果は年々減少し、処理後5年以降の薬剤効果はほぼ認められなくなってしまいます。そのため、シロアリへの対策をベストな状態でキープしておくためには5年ごとに薬剤処理を行う必要があります。しかし、一度処理をすればもう必要ないと勘違いしてしまったり、再施工することを忘れてしまうことも多いのではないでしょうか。
丸七ホームでは、防蟻薬剤に含まれる化学物質がもたらす居住者への健康被害が懸念されているため、新築時には薬剤による防蟻処理は行いません。住まいの床下環境を特に大切に考え、基礎外断熱に物理的な防蟻処理を施した「TDP工法」を採用しています。この工法では、断熱材と一体化したシロアリが食べることができない硬いフライアッシュボードを基礎の外側に施工し、土間とボードの繋ぎ目や水道配管部分等にできる隙間には、シロアリが食い破れない高強度のステンレスメッシュ(ターミメッシュ)を貼り付け、専用モルタルでしっかりと密着させ、最後にセラミック塗装で仕上げていきます。シロアリの侵入を物理的に防ぐことで、5年ごとの薬剤を再施工しなくてはいけないという煩わしさや、身体への健康被害を危惧する必要もありません。再施工の必要もありませんが、安心して暮らしていただくために、普段から建物の周囲に枯れ木を置いたままにしないこと、カーペット等を敷かないようにしていただくこと、5月末頃に基礎の周りに蟻道ができていないかの目視点検を行っていただくことをお願いしております。
シロアリが新しい家族をつくって大切な我が家に被害をもたらす前に、シロアリへの知識と対策、その点検方法について知っておいていただきたいと思います。