地震に適応する日本の住宅

地震による大地の揺れは、その上に建つ建築物に直接的に伝わります。その際、建物が重ければ重いほど、その振動エネルギーは大きくなります。木造の建物は、鉄骨造やRC造よりも軽いため、地震が発生した際の建物の揺れは、他の構造に比べて小さくなります。
また木は、石や鉄に比べ、素材に弾力性や柔軟性があり、曲げに強い特性があります。同じ重量の素材で、圧縮に対する強さを測った実験では、木は鉄の約2倍、コンクリートの約9倍の強度があり、引っ張りに対しての強さは鉄の約4倍、コンクリートの200倍もありました。
また、鉄やコンクリートは、ある一定以上の曲げの力が加わると、突然折れ、崩壊する危険性がありますが、木材は曲げの力が加わっても耐久性があり、同じ状態に復元する力が働くため、地震の大きな揺れを受けた時も、ある程度変形しながら力を逃すという性能をもっています。木造の建物は、鉄骨造やRC造の建物よりも揺れが少なく、その柔軟性によって地震の揺れを逃すことで、地震の被害を防いでいるのです。
木で家を建てる技術は、地震の多い日本で生み出された「木の文化」です。軽くて強い木の特性を生かし、壁をバランスよく配置するなど耐震性も十分に考慮して設計・施工された木造住宅であれば、鉄骨造やRC造にも決して劣りません。
(マルシチホーム家づくり通信「concierge 2024年 春号」掲載)