シロアリから住まいを守る ~シロアリってどんな虫?~
シロアリが、アリの仲間だと思っている人は多いのではないでしょうか。
名前に「アリ(蟻)」が入っているものの、シロアリは実はゴキブリに近い昆虫です。約3億年前にゴキブリの祖先から分化し、高温多湿の広大な森林で樹木を食べていました。自然界では、「森の掃除屋さん」として枯れた木などを分解し、土に戻すという重要な役目を担っていますが、住宅地では、家の柱や土台を食べる厄介者。見えないところで、住まいをボロボロにしてしまいます。
大切な住まいを守るためには、適切なシロアリ対策(点検・予防・駆除)が重要です。シロアリを駆除する事態とならないよう、その習性を理解した上での点検、シロアリの侵入を防ぐための予防策について考えてみたいと思います。
日本にいるシロアリ
世界では約3000種が知られており、ほとんどが熱帯・亜熱帯に生息しています。日本では現在知られている22種類のうち、5種類が建築物に被害を及ぼすと考えられています。東海地方においては、土の中から建物に侵入するヤマトシロアリ・イエシロアリの2種類への対策が重要です。
【ヤマトシロアリ】
・羽アリの発生:4月〜5月
・羽アリの色:黒褐色
・加害習性:湿潤な腐朽木材を食害
・巣:加害箇所に巣をつくる
・活動好適温度: 12度〜30度
【イエシロアリ】
・羽アリの発生:6月〜7月
・羽アリの色:黄褐色
・加害習性:湿潤な腐朽木材だけでなく、
水を運ぶことで乾燥した木材も食害
・巣:塊状の固定巣をつくる
・活動好適温度:30度〜35度
ヤマトシロアリは水を運ぶことはできませんが、イエシロアリは水を運ぶことができます。そのため、乾燥した2階の梁まで水を運び、食害するなど、大きな被害を及ぼすこともあります。また、住まいの省エネ化が進み、冬でも温かい住まいが増えています。基礎の下にある地盤は、住まいの熱の影響を受けるため、土中は温かく保たれ、従来はシロアリが発生しなかった2月に蟻害が認められた事例もあります。そのため、シロアリに住まいを食害されないための「予防」が重要となります。
(画像・図の出典:公益社団法人 日本しろあり対策協会)
(マルシチホーム家づくり通信「concierge 2021年 春号」掲載)